あ〜、今日も一日終わった〜 大きく伸びをして、私は自室へと向かった。 部屋へ行くにはカガリ様の部屋の前を通らなきゃいけないんだけど、 な、なんと! カガリ様の部屋の前に不逞の輩! …と思ったら、あれはアスラン様? 私は柱の陰に隠れて、こっそり様子を窺った。 アスラン様は、きょろきょろと周囲を見回して、扉に手を掛けると、 あっという間にセキュリティーを解いて、滑るようにカガリ様の部屋へと消えていった。 (きゃ〜〜〜っ!これって夜這い!?) 私は、ドキドキと成り行きを見守った。 あの部屋の中ではあんなことや、こんなことが繰り広げられてるのかしら… … …と思ったら。 アスラン様はすぐに部屋から出てきた。 しかもなんだか、ものすごーく落ち込んでる。 溜息まで聞えてきそうだわ。 あ!ヤバイ!目が合った。 アスラン様は、ゆっくりとこっちへ向かってきた。 (わ〜ん、怖いよ〜〜〜) 殺され…るわけはないわよね… でも… 「今の、見てたよね?」 「はい…」 あぁ〜いい声。 こんな声で愛を囁かれたら、死ぬわね。 いいな〜、カガリ様… じゃなくて! 「誰にも言わないでくれるかな?」 「は…はい…」 アスラン様の左頬は、薄っすらと赤い手形がついていた。 (ひっぱたかれたのね…カガリ様に…) まあ…無理もないわね。 「じゃあ…」 アスラン様はそう言って、自室へ戻っていった。 とぼとぼと、と言う表現がぴったりな後姿だわ。 でも… ごめんなさい。 約束は守れません。 だって… 『アスラン様とカガリ様のことで何か面白いことを見たり聞いたりしたら、ちゃんと報告すること。』 って規則があるんです。 私、まだクビになりたくありません。 あ、でも安心してください。 ユウナ様には言いませんから。 そして次の日。 昨夜のことは当然、報告させてもらいました。